「メイプル・リーフ・ラグ(Maple Leaf Rag)」は、スコット・ジョプリンが1899年に発表したラグタイムピアノ曲の金字塔です。シンコペーション(躍動的なリズムのずれ)を駆使したメロディと洗練された構成が特徴で、ピアノロールや楽譜を通じて爆発的なヒットを記録しました。本作の世界的成功によってラグタイムというジャンルが確立され、ジョプリンは「ラグタイム王」としての地位を築くことになります。後のジャズの誕生やポピュラー音楽の発達にも多大な影響を与えた音楽史上きわめて重要な名曲であり、現在もピアノの代表的なレパートリーとして世界中で愛奏されています。

それまでニューオーリンズのクレオールは高い社会的地位を保ち、クラシック音楽の英才教育を受けて白人社会に近い生活を送っていました。
しかし、1894年にルイジアナ州で「1滴でも黒人の血が入っていれば黒人とする」という人種隔離法(ジム・クロウ法)が本格適用されます。これによりクレオールは白人社会から締め出され、アフリカ系黒人と同じ居住区や労働環境へと追いやられました。この1890年代半ばに、クレオールの持つ「西洋音楽の高度な知識・楽譜を読む技術」と、黒人たちの「ブルースや感性豊かな即興的リズム」が混ざり合い、ジャズの芽が生まれました。