ニューオーリンズに公認の赤線地帯「ストーリーヴィル(Storyville)」が開設された1897年から、クレオールや黒人のミュージシャンたちがダンスホールやキャバレー、娼家で日常的に演奏するようになります。

ニューオーリンズ・スタイルの完成と頂点を象徴する歴史的作品は、ルイ・アームストロング&ヒズ・ホット・ファイヴによる『ウェスト・エンド・ブルース(West End Blues)』の録音(1928年6月28日)です。コルネット、トロンボーン、クラリネットが織りなす集団即興演奏というニューオーリンズ伝統のアンサンブル構造を継承しつつ、冒頭の圧倒的なトランペット・カデンツァによって個人の即興演奏(ソロ)の可能性を極限まで押し広げました。当時の演奏映像はありませんが、このSP盤音源はYouTubeで試聴可能であり、ニューオーリンズ・ジャズの集大成にして近代ジャズへの架け橋となった金字塔です。