ファンクの誕生を象徴する出来事は、ジェームス・ブラウンが1965年2月に録音し、同年7月に発表した楽曲『Papa's Got a Brand New Bag』のリリースです。
従来のリズム&ブルースやソウルのスタイルから一転し、メロディやコード進行よりも「1拍目(The One)」を強調した強烈なリズムとシンコペーションを前面に押し出したサウンドが特徴です。ポピュラー音楽においてリズムを主役に据えるという革新的な構造を生み出し、この革新によってファンクという新たな音楽ジャンルの骨組みが決定づけられました。

ファンク誕生の背景には、1960年代のアメリカにおけるアフリカ系アメリカ人の社会的地位向上運動(公民権運動)と黒人自立の意識の高まりがあります。ジャズやソウルなど既存の音楽が持つ複雑なコード進行や洗練されたメロディに対し、より肉体的で根源的なアフリカ的リズムの重要性を再発見する動きが生まれました。ジェームス・ブラウンをはじめとするアーティストたちは、奴隷制以来の苦難や怒りを表現するため、1拍目を強烈に強調するリフレイン主体のトランス状態を生むサウンドへと進化させました。こうして音楽的革新と社会的・文化的自我の確立が結びつき、ファンクという力強いスタイルが成立したのです。