アブー・ル・ファラジュ・アル=イスファハーニー(897年–967年)が編纂した『大音楽の書』(原題:『キターブ・アル=アガーニー』 Kitāb al-Aghānī、日本語訳では一般に『歌の書』とも呼ばれます)は、10世紀半ば(960年代初頭頃)に完成したとされています。
編纂には約50年という膨大な歳月が費やされ、960年から963年頃に当時のアッバース朝やハマダン朝の宮廷、あるいは後ウマイヤ朝のカリフ(ハカム2世)へ献上されたと伝えられています。
名称についての補足
アラビア語の Kitāb al-Aghānī (キターブ・アル=アガーニー)は直訳すると『歌の書(Book of Songs)』となります。
※なお、同じ10世紀の哲学者・音楽理論家であるアル=ファーラービー(872年–950年)が著した純粋な音楽理論書『大音楽の書』(Kitāb al-Mūsīqá al-Kabīr)と混同されることがありますが、アブー・ル・ファラジュの『歌の書』はアラブ詩や歌謡、音楽家・詩人たちの伝記・逸話を網羅した全20巻(後世の版では24巻等)におよぶ一大百科事典です。